ちびの備忘録

mon rêve est la vie "fabulous" comme un petit chat et un nuage ...

平等とは

『こんな夜更けにバナナかよ‐筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち‐』

                       渡辺一史

                       ISBN:9784167838706

                       2003年3月刊行

 フリーライター渡辺一史氏による、完全ノンフィクション(登場人物は全員実名)ルポ。もう10年以上も前に発売されたこの本。存在は知っていた。内容的に、気にもなっていた。でも、なぜだか読みたくなかった。重度障がい者の主人公と、その彼を支えるボラさん達、そしてその人生を包み隠すことなく、書き溜めた「大」取材記録。その後、立て続けに2つも大きな賞を受賞され、ライターとしての道を確立した話題の一冊である。

【用語解説】ボラさん:ボランティアさんの略。名古屋の職場で、私は沢山のボラさんと接する機会を得た。これは本当に恵まれた経験・環境だった。そんな皆さんのことを話題にする時、親しみを込めて「ボラさん」と呼んでいた。

  なぜ、読みたくなかったのか。単純に、「いかにも」な匂いがぷんぷんして、毛嫌いしてしまったのだろう。「福祉の心」ってそんな綺麗ごとじゃないって、何も知らないくせに決めつけてしまっていたのだ。

 

 最近の読書の流れで、彼の著作物に対面した(今、『群像』等の講談社に興味がある)。見た目に分厚く、読みかかるまで時間がかかった。しかし、いざ読み進めてみると、30分ぐらいで読破する自分がいた。内容が衝撃的過ぎたのだ。そして、なによりも「気持ち悪く」なった。凄すぎて、言葉に表現出来なさそうだったのだ。だからこそ、そのことを覚書したくて、ここに書いているのだが、どうも上手く書き残せる自信がない。

 

 ルポの内容は、昔、考えていたものとは全く違っていた(当然ながら)。障がい当事者を「かばう」というより、いい意味で「けなして」いた。本当の意味(?)で、同じ立場から、彼の人生を書いていたのだ。だから、発売前に彼はお亡くなりになっていたのだが、だからと言って「いい奴だったよね、とか思い出を美化するのはやめよう。むしろ、どうしようもない奴だったってことを忘れないようにしよう。だって、あいつ、超我が儘だったじゃん。夜中に呼びつけるし!」みたいな文章がつらつらと書き綴られているのである。

 

 ああ、どう終わりましょうか。困った。とにかく、今感じたことを活字に出来ただけで良しとしましょう。「強制的」に完!

 

【参考】Profile 著者のHPより

 

こんな夜更けにバナナかよ

こんな夜更けにバナナかよ